共通フレーム2007

共通フレームとは、コンピュータ・システムの開発において、システム発注側(ユーザー)と受注側(ベンダ)の間で相互の役割や業務の範囲・内容、契約上の責任などに対する誤解がないように、双方に共通して利用できるよう用語や作業内容の標準化するために作られたガイドラインのこと。

情報処理振興事業協会(IPA)の下に設置された「システム開発取引の共通フレーム検討委員会」が1992年から検討を始め、1995年8月にISO/IEC 12207が正式に発行となり、1996年7月にそれを日本語化したJIS X 0160が日本工業規格として発行された。最新版は2007。



より抜粋、一部編集。


原理原則17ヶ条
  1. ユーザとベンダの想いは相反する
  2. 取り決めは合意と承認によって成り立つ
  3. プロジェクトの成否を左右する要件確定の先送りは厳禁である
  4. ステークホルダ間の合意を得ないまま、次工程に入らない
  5. 多段階見積もりは双方のリスクを低減する
  6. システム化実現の費用はソフトウェア開発だけではない
  7. ライフサイクルコストを重視する
  8. システム化方針・狙いの周知徹底が成功の鍵となる
  9. 要件定義は発注者の責任である
  10. 要件定義書はバイブルであり、事あらばここへ立ち返るもの
  11. 優れた要件定義書とはシステム開発を精緻にあらわしたもの
  12. 表現されない要件はシステムとして実現されない
  13. 数値化されない要件は人によって基準が異なる
  14. 「今と同じ」という要件定義はありえない
  15. 要件定義は「使える」業務システムを定義すること
  16. 機能要件は膨張する。コスト、納期が抑制する
  17. 要件定義は説明責任を伴う

一番参考になった言葉は5番目の「多段階見積もりは双方のリスクを低減する」です。仮試算・試算・概算・確定と徐々に具体的にしていくというもの。ベンダー側としては後の工程で機能要件が膨らむことは目に見えているため、見えている要件より多めに見積もらなければ破綻します。しかし、結果として多めに工数をとりすぎてしまうということもありうるでしょう。ユーザ側・ベンダ側ともに納得できる値にするために、「多段階見積もり」を行うことは非常に有効だと思います。ちなみに資料の中では「システム化の方向性:仮試算」「システム化計画:試算」「要件定義:概算」「設計:確定」となっています。

2~4は「合意は大事だよね、きちんとしようね」という内容。理想論としてはごもっともです。しかし現実には、「待っていたら間に合わない」「作業が停滞してしまう」という場合があり「先行実施」し、後で覆され戻り作業が発生というケースが少なく無いと思います。そういう場合にはどうすればいいのか悩むところです。

9~17はユーザに対し「しっかり要件定義してよね」という、経験を基にした愚痴にも取れます…。

Ċ
tomoaki miura,
2011/08/29 2:28